些細事

関東で一人暮らしを始めて以来、水道水を飲まずに買った水を飲んでいるのは母の教えだ。都会の水は危ないから飲まない方がいいよ、飲むなら煮沸しなさい、と言われて煮沸、煮沸は相当に面倒だ、と思って2リットルの水を都度買ってきては飲んでいるのだけれど、週に1、2回重い水を抱えて帰るのと、沸かした水を冷ますのと、どっちの方が手間がかかっているのかなあ。確かに水道水はなんだかまずい、気がする。一回口に含んだだけだから気がするだけ。飲んでない。飲んでないからセーフ。母の教えを守っている。その事実が何より大事なんでした。母の教えを守っているから、距離としては離れている家族と繋がっているような気になれる。携帯の会社を変えずにいるから、繋がっているような気になれる。帰省した時に持たせてくれた鉄分サプリを一粒飲まずに残してあるから、繋がっているような気になれる。送ってくれた荷物の段ボールをとってあるから、地元で買った靴をこちらでは捨てずにいるから、何か些細なことを、バラバラになるきっかけとして恐れるなんてそんな脆いもんだろうか、とも思うけど怖がりな私は些細なことこそ重たく感じてしまうんでした。きっと私以外の家族は気にも留めていないであろう些細事、私だけが気にしていればいいこと。